研究内容

X線を用いた高度構造解析技術に基づく材料機能研究

 半導体に不純物をドープすると、伝導特性が大きく変化するように、ドーパントは機能の発現に重要な役割を果たしています。元素ドープによる機能の発現メカニズムを理解するには、物質中でドーパントがどのように配列し、周囲の原子構造にどのように影響を与えているかを知ることが重要となります。
 私たちの研究グループでは、蛍光X線ホログラフィーという手法を駆使した原子構造解析を行っています。この技術は、従来の手法では観測が難しい、結晶におけるドーパントの周囲の原子構造を3次元で可視化できるという特徴を持っています。これよって、材料におけるドーパントの役割を原子レベルで理解し、新規材料開発や材料機能向上に向けた設計指針を与えることを目指しています。形状記憶合金、熱電変換材料、軽量Mg合金など様々な材料の研究に取り組んでいます。
 この他、X線非弾性散乱による格子振動の観測、電子線・中性子線を用いたホログラフィー実験、X線反射率測定による薄膜の評価、蓄電池内の電解液の構造解析、ブリッジマン法による単結晶育成にも取り組んでいます。

 

人に優しい社会基盤素材の新製造プロセス開発

 今日、資源、エネルギー、環境、リサイクル問題等がますます重要になってきています。このような背景のもとに、素材製造プロセスにおけるエネルギー、資源の有効利用、資源リサイクルの推進、および超音波を利用した新しい材料創製プロセスなど未踏研究領域への挑戦など行っています。
 環境に配慮した高効率素材製造プロセス、バイマテリアルの回生化・利材化 ・無害化に関して、廃ニッケル水素電池およびネオジウム磁石の乾式処理による有価金属の回収、 廃アルミニウムの塩化処理によるマグネシウムの除去、溶融亜鉛と水蒸気の反応による水素製造の研究を行っています。また、超音波を利用した材料プロセッシングに関して、超音波照射による溶融金属中分散粒子の凝集・分離、物質および熱移動現象に及ぼす超音波照射の影響について調べています。